レファレンス事例詳細
- 事例作成日
- 登録日時
- 2016/01/27 15:34
- 更新日時
- 2016/03/17 12:28
- 管理番号
- 2015-003
- 質問
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解決
刀匠安綱の出身地について
- 回答
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『鳥取県大百科事典』p126大原刀工の項に3説あり。以下まとめ。
説①:(西伯郡)岸本町大原
『太平記』に「伯耆国会見郡大原五郎云々」と書かれているのを手掛かりにして、岸本町大原を推定されているが確実でない。
説②:倉吉市大原
大原鍛冶伝承地があり『伯耆民談記』などはそこを推定している。
説③:日野郡日南町大原
大原は平安時代日野郡にあり(…云々)。
日野郡日南町に大原があり、鍛刀に関する資料がある。
- 回答プロセス
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【補足】
※説①(西伯郡)岸本町大原
・郷土史家がまとめた資料『伯耆大原安綱』(幡原 敦夫/著 2008年出版)p14-15によると、
「平安時代の『延喜式』には伯耆国6郡、その内に会見郡あり」としている。
「『和名類聚抄』(※平安時代の辞書)には、会見郡に12の郷があり、郷には日下・細見・美濃…」とあり、
「「地名辞書」(※『大日本地名辞書』1907年刊のことか)には日下郷は河岡・日下・石州府・福万・丸山・小林・大原・真野・須村である」としている。
以上の事より、平安時代に伯耆国会見郡大原は実在していた。
と論じている。
・『日本歴史地名大系 32 鳥取県の地名』で「大原」の名のつく地名を調べる。安綱に関係のある項は次の2項目。
p657…岸本町大原の項に「平安時代の刀工大原鍛冶の故地との伝承が残る」としているが、「現日南町花口字大原や倉吉市大原(おはら)・米子市日下などが主な伝承地であるが、あるいは大原鍛冶は古代伯耆鍛冶の氏名であったのだろう」と記している。
p653…岸本町の項目では「大原は平安前期の高名な刀匠大原安綱の故地ともいわれる」とあり。
※説②倉吉市大原
・寛保二年(1742年)に完成した『伯耆民談記』には、
「安綱は大原の五郎太夫といい、河村郡大原村に鍛冶屋として屋敷が今も残っている」旨の記述あり。(※河村郡は東郷・羽合(現湯梨浜町)、西郷(現倉吉市)、三朝地区を含む)
また、太平記には「会見郡の大原の鍛冶とあるが、会見郡に大原の地名がないので河村郡の誤りである」との記述もある。(※会見郡には現在の岸本町が含まれる)
・『西郷誌』(西郷誌編集委員会/編 1998年出版)p54では、
「大原安綱、その子真守らは当時の伯耆国河村郡大原に在住」と記述。
鍛冶屋敷や鉄山屋敷、たたら窪という大原の地名についても記述あり。
『続三朝町誌』(三朝町/編 1968年出版)p551-553、
『倉吉市史』(倉吉市史編纂委員会/編 1973年出版)p868、
『倉吉市誌』(倉吉市誌編さん委員会/編 1956年出版)p690 も伯耆国河村郡大原説を採用。
※説③(日野郡日南町大原)
・『日野郡史 後篇』(日野郡自治協会/編 1972年出版)
p2385…「奈良時代に於て彼の有名なる刀工大原の一族が、本郡各所に刀剣を鍛ひし時代に於て其歩を進め云々…」とあり。
<安綱について>
前述の『鳥取県大百科事典』『太平記』『伯耆民談記』『伯耆大原安綱』『西郷誌』『続三朝町誌』『倉吉市史』『倉吉市誌』に人物紹介掲載。
『刀工大鑑』p675-676には作風が掲載。
<童子切について>
『日本の名刀』(雄山閣 1965出版)p10-12、『続三朝町誌』p551に記述あり。
県立図書館所蔵本「名刀伝」p22-25に、由来、逸話あり。
職員所蔵本「日本刀」(河出書房新社 2014年出版)p38-39に、天下五剣の一本目に紹介されている。
- 事前調査事項
- NDC
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- 中国地方 (217 8版)
- 金工芸 (756 8版)
- 日本 (291 8版)
- 参考資料
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新日本海新聞社鳥取県大百科事典編集委員会 編 , 新日本海新聞社. 鳥取県大百科事典. 新日本海新聞社, 1984.
http://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001734856-00
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新日本海新聞社鳥取県大百科事典編集委員会 編 , 新日本海新聞社. 鳥取県大百科事典. 新日本海新聞社, 1984.
- キーワード
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- 伯耆 安綱
- 大原 安綱
- 童子切安綱
- 照会先
- 寄与者
- 備考
- 調査種別
- 内容種別
- 郷土 人物
- 質問者区分
- 登録番号
- 1000187585